閉鎖音
SGXでは、人が話すときの筋肉の動きを基にしたマッスルダイナミックモデルを採用しています。高品質なリップシンクを実現する上で欠かせないのが、キャラクターのマッスルポーズを正しく定義することです。ただし、閉鎖音については、基本的なマッスルのセットアップだけでは足りず、もう少し細かい調整が必要になります。
閉鎖音とは
子音の中には、口の中を通る空気の流れを遮断したり、空気の通り道を細くしたりすることで発声するものがあります。たとえば、「boy」の「b」を発音するときは、上唇と下唇をぴったり閉じて、空気の流れを一瞬遮断します。「feel」の「f」のときは、下唇を上の歯に押し当てて、空気の通り道を細くします。どちらの場合も、口腔内の2つの部位が直接触れ合っています。このようにして発声する音を、専門用語でそれぞれ「破裂音」「摩擦音」と言い、弊社では2つをまとめて「閉鎖音」と呼んでいます。
フェイシャルアニメーションでは、一概にすべての閉鎖音が重要というわけではありません。「kin」の「k」は、舌の奥を上顎の奥に当てて発音しますが、口の中の奥かつ高い位置で閉鎖が生じるため、外からはほとんど見えません。つまり、舌は正しい位置にあるが上顎にきちんと当たっていない、という状態でも、不自然な印象を与えることはありません。
これに対して、唇や歯といった口の前方部分で生じる閉鎖は、外から非常によく見えます。このような閉鎖音のときの口の動きが足りずに隙間が空いたり、逆に行きすぎて重なってしまったりと不正確だと、リップシンクがずれているという印象を与えてしまいます。以下の動画は、舌を上の歯に当てる歯音という閉鎖音のアニメーションを、舌と歯の接触が弱い、適切、接触が強い、の3パターンで示したものです。
舌を上の歯に当てる歯音の動きを、舌と歯の接触が弱い、適切、接触が強い、の3パターンで示したアニメーション
キャラクターのセットアッププロセスには、高品質な閉鎖音の動きを作れるよう、閉鎖音のサンプルポーズを細かく調整できる機能が含まれています。
閉鎖音の調整
キャラクターのセットアップ作業では、閉鎖音のサンプルポーズを細かく調整することができます。調整したサンプルを元に、アニメーションシステムは、閉鎖音を全般的に正しく出す方法を学習します。閉鎖音のポーズは、その音を発声する際に使用する部位の動きを過不足なく調整するスライダーを動かして編集します。接触部分に隙間ができないよう、ただし重なりすぎないようにも注意して、「しっかりと接触した状態」になるように調整します。
SGX Studioで編集できる閉鎖音は以下の3種類です。各閉鎖音ではサンプルポーズを調整できます。
閉鎖音 | 接触する部位 | 関連する音 |
|---|---|---|
両唇音 | 下唇 ⟷ 上唇 | p、b、m |
歯音 | 舌 ⟷ 上の歯 | th、dh |
唇歯音 | 下唇 ⟷ 上の歯 | f、v |
閉鎖音の調整ツールの使い方については、「閉鎖音の編集(Maya)」、または「閉鎖音の編集(UE)」をご覧ください。
注:閉鎖音の編集は、マッスルの定義が完了してから行うようにしてください。マッスルポーズやリグに変更が加えられた場合、閉鎖音の編集をやり直さなければならない場合があります。